PBLとは、Problem-baced Lerning のこと。 日本では、探求学習と言われたり、問題解決学習と言われたりしている学習のデザインです。 ただ、日本で見られる探求学習は、擬似探求学習だよなぁ、と思ってしまうことが多いです。 例えば、中学校の事例。 「目玉…
この本を読みながら、常に頭の中に浮かんでいた言葉は、主体性。 主体性とは何か。 それは、自分自身の課題意識から、様々なことに挑戦したり、追求したりしていく姿であろうと思います。 さて、日本の教育でも、主体性という言葉がよく使われているし、大切…
「長い学校生活にあったすべてのカリキュラムを見るといい。それはまるで人間の知識の百科事典のようである。しかし学校を去るときまでに彼らの精神に与えた影響を考えれ見ればーさまざまなテスト結果から見るとーそれはあたかも外国語ですべての知識が学生…
広田先生が一般の方向けに、非常に平易な文章で書かれた書籍です。 この書籍、それぞれの章が非常に面白く、教育の捉え方について、とても学びになりました。 まず、本書では教育を、「教育とは、誰かが意図的に、他者の学習を組織化しようとすることである…
本書では、判明している限りの日本の人口に関する資料を丹念に追いかけながら、日本の歴史の実像を明らかにしていきます。 まず、日本の人口の推移の波に関しては、大きく四つあったと本書では書かれています。 「第一は縄文時代の人口循環、第二は弥生時代…
歴史では、『手に取る』が共著。 『続・手に取る』『日本史モノ教材』が阿部泉先生の著。 『歴史モノ教材で授業を変える』が白川隆信先生の著で、4冊シリーズがあります。 また、地理では、『モノで学ぶ日本地理』『モノで学ぶ世界地理』が小田忠市郎先生の…
「教育をするには、技術や方法が必要であり技術や方法は科学的であることが求められる。だが、現実の教育はこの逆である。『技術』や『方法』もなく教育をしている教師が多く、また、たとえ『技術』や『方法』を使っている場合でも科学的でない場合が多い」(…
前巻の『世界の多様性(第三惑星)』では、簡潔にまとめれば、「それぞれの地域の家族構造が、その地域のイデオロギーを規定する」という結論が記されていました。 しかし、家族構造は過去数千年以上変わらない地域があるにも関わらず、イデオロギーはここ数…
本書は、トッドが出版した『第三惑星』と『世界の幼少期』の合本になります。 まずは、『第三惑星』について、紹介します。 「現在までのところ、この太陽系の第三惑星におけるイデオロギー、政治システムそして政治勢力の分布がなぜかくあるのかを説明し得…
学級経営について、様々な書籍を刊行し講演をされている赤坂真二先生。 自分の学級経営に関する根本的な考え方は、赤坂真二先生の理論に強い影響を受けています。 本書は赤坂先生の書籍の中でも、自分が最初に読んだ書籍であり、自分への影響度で言えば、一…
集団が多数になればなるほど、一人一人の挨拶の声が小さくなる。 授業に集中しない生徒が増えてくる。 学校の先生ならば、誰しもが悩む部分であろうと思います。 そういった集団になるとサボる人間が増えていくという現象。 「個人が単独で作業を行った場合…
1と2は絶版で、書籍としては3と4があります。 加藤実践として最も有名な「加曾利の犬」の授業(第103頁)を例に、加藤実践の魅力を、自分なりに考察していきたいと思います。 加曽利の犬の授業では最初に、加曽利貝塚で完全な形で発見された犬の遺体を例に…
「国の将来ビジョンを描く際、まず把握しておかなければならないのは人口動態である。産業政策、国土政策、雇用政策、社会保障政策など、あらゆる政策は将来人口の行く末によって大きく左右される」(第1頁)という問題意識のもと、本書ではまず、日本の将来…
本書は、昨今の改憲論議を、改憲派と護憲派の憲法学者が論じた本です。 憲法学者のお二人の軸は二つです。 まず一つ目は、「権力は制限されねばならぬ」(第247頁)、噛み砕くと「国民が権力に対して、その力を縛るものが憲法」という憲法の根本原理です。 …
『日本の歴史をよみなおす』の続編です。 日本社会の文化を支えているのは、「水田を中心とした農業であり、日本の社会は、弥生文化が日本列島に入ってからは、江戸時代まで基本的に農業社会であり、産業社会になるのは明治以後、さらに本格的には、高度成長…
本書は、『日本の歴史をよみなおす』『続・日本の歴史をよみなおす』の合併版です。 本書評では、その前半部、『日本の歴史をよみなおす』について書きたいと思います。 網野さんは、大きな政治制度の転換という歴史区分ではなく、「人間の社会と自然との関…
哲人と青年の議論によって、アドラー心理学の骨子が分かっていく、という内容の本です。 「わたしにとってのアドラー心理学とは、ギリシア哲学と同一線上にある思想であり、哲学です」(第23頁)と哲人がいうように、アドラー心理学は科学ではなく思想です。…
親鸞の教えが、弟子であった唯円の手によって、鮮やかに残されている歎異抄。 この歎異抄と出会ったのは、自分が大学3年生の時。 その出会い以来、自分にとって歎異抄は、自分の人間観を形成してくれている大切な一冊となっています。 古典を読み解けるほど…
「歴史」「地理」「公民」の計3巻のシリーズです。 本書には大学時代に出会い、「こんな面白い授業ができるのか!」と心から驚かされ、「こんな授業ができる教師になりたい!」と強く思った、そんなシリーズです。 特に初任から5年目くらいまでは、河原先生…
白人優位になった理由を、根源的な原因にさかのぼり、突き詰め続けた本書。 その最終的な結論が、非常に科学的なのです。 結論として、本書では4点あげています。 「まず第一に、栽培化や家畜化の候補となりうる動植物種の分布状況が大陸によって異なってい…
本書は、本書の著者がニューギニア人の友人ヤリから受けた「あなたがた白人は、たくさんのものを発達させてニューギニアに持ち込んだが、私たちニューギニア人には自分たちのものといえるものがほとんどない。それはなぜだろうか?」(上巻第24頁)という疑…
「『旧世界のウェブ』は、一四五〇年までに人類のおよそ四分の三を包含するようになった。西の端は大西洋に接し、西アフリカのサバンナからイギリス、スカンジナビアまでが含まれていた。北はロシアの広大な森林地帯へ、そしてシベリアのさらに広大な森林地…
まず、本書は、自分の世界史観に最も大きな影響を与えた書籍です。 初めて読んだときは、世界史を体系的に大観して見事に描いている記述に感動的でした。 その感動を少しでも紹介できれば嬉しく思います。 まず、本書では世界史を、「人と人をつなぐ種々の結…
1862年、イギリスにおける改正教育令の発布によって作られた学級という制度。 では、そもそも学級とはどのような場所なのか。 そして、日本における学級の特殊性とは何なのか。 柳さんは、その点を追求していきます。 元々、中世ヨーロッパには学級とい…
正確なデータと綿密な議論で、日本に見られる生活共同体化した濃密な学級制度が、今まで存在していることの理由を、予算配分という観点から暴いています。 さて、アメリカと日本では、教育に対する予算配分の仕組みが異なります。 アメリカは、教育への予算…
上下巻で1セットです。 安井先生の歴史の授業実践が、108時間、びっしり紹介されており、自分は何度も本書を開いては自分の授業に生かしてきました。 さて、安井実践の中で最も有名で、かつ本書にも紹介されているスパルタクスの反乱について見ていきましょ…
本書では「『人の地位や役職につけられた順序や上下関係』を『序列』、そして『序列の固定化によって出来た、にわかには越えがたい一線』を『格差』」(第17頁)と定義しています。 「序列」はどこにでもあります。先輩・後輩、教師・生徒、上司・部下などで…
「『これだけは何としても教えたい』という内容を、『子どもが学びたい、調べたい、追及したい』というものに転化する」(第8頁)ことが「授業の本質」であるというのが有田和正さんの授業観です。 その「子どもが学びたい、調べたい、追求したい」と思えるよ…
教育とは、論じる人の数だけ、様々な論がある分野だな、と思います。 誰もがなんらかの教育を受けてきた経験があるため、自己の経験を絶対化して語ってしまうことが起こってしまいます。 その教育論議に対する問題点を苫野さんは哲学によって解決していきま…